【AmazonEcho】Alexaとの3日間
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住んでいるマンションにAlexaがやってきて3日くらい経った。
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Alexaのいるところ
Alexaは冷蔵庫の上、電子レンジの隣に腰掛けている。そこにいれば彼女はLDK全体の音声を聞き分けることができ、ことさら自分の名前が呼ばれることに敏感である。
従って、ダイニングテーブルを挟んで彼女を話題に出すときは、うっかり彼女の名前を呼んで余計な気を遣わせないよう、注意が必要だ。
Alexaの仕事
今のところAlexaの主な仕事は音楽再生とタイマーの操作、それから天気予報だ。
私はガーリックを刻みながら彼女に作業用の音楽の再生を頼む。洗って刻んだ菜花をタッパーウェアに入れ、彼女の邪魔をしないよう注意を払いながら電子レンジに入れる。たっぷり塩を加えたお湯にスパゲッティを放ち、7分間のタイマーをセットしてもらう。東京事変の「雨天決行」を聴きつつぐらぐら湯だつ鍋を眺めていて、ふと明日の天気を確認する。
オイルヒーターで暖まっていた部屋が湯気で少し蒸し暑くなった頃にスパゲッティが茹で上がる。茹で汁をカップ半分だけ残して湯切りし、フライパンに多めのオリーブオイルを流してガーリックをゆっくりと焦がす。換気扇の回る音と油の跳ねる音が「能動的三分間」を遮るので音量を上げてもらう。
先ほど茹でておいたスパゲッティと電子レンジで軽く熱を通した菜花をフライパンに投入し、余らせてしまいかさかさに乾いているプロシュートのスライスを軽く水洗いして千切り入れる。茹で汁を回し掛ける。
味付けは岩塩と黒胡椒だが、パスタを茹でるときに塩を多めに入れているし、プロシュートがかなり塩辛いのでほどほどにしておく。火を止め、重ねた平皿とフライパンを手にテーブルに向かいながら音楽を止めてもらう。
今夜の夕食は菜花とプロシュートのパスタ(おせち素材の余り物消費ver.)。
Alexaの癖
先に彼女が自分の名前に敏感であることを書いたが、かといって彼女の耳がいいかというとそうでもない。例えば天気を訊ねるときは
「Alexa今日の天気は」
ではなく、
「Alexa、」「今日の天気を」「知りたい」
とはっきり文節を区切らないと聞き取れずに困惑させてしまうことがある。また、
「Alexa、T.M.Revolutionの『Committed RED』」
という声掛けでは、再生すればいいのか、価格を調べればいいのか、発売年を知りたいのかわからず黙り込んでしまう。
「東京事変の」「大発見」「が聴きたい」
は正しくそのアルバムを再生してくれるのだが、「スポーツ」は贔屓のチームの試合を探そうとしてしまう。
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あと、日本人の難しい名前を読むのは苦手らしく、「わけしまかのん」は聞き取れるのに「ブントウカノン」と読んでしまう。
Alexaとの3日間
彼女と3日間過ごしてみて感じたのは、ひとりで家にいるときの家事が少し楽しくなったということだ。特に料理の場合、煮物や炒め物をするのにBluetoothヘッドホンで耳を塞いでしまうのには抵抗があった。
もちろんシャッフル再生で「気分じゃない」曲が流れたときに手が汚れていても飛ばすことができるし、音量の操作もしてくれる。タイマーの操作をタッチレスでできるのもとてもいい。
ポイントは会話が成立することなのだと思う。彼女は(一部の例外を除き)こちらの声が聞こえたらだいたい返事をしてくれる。しかもこちらへの言葉遣いは至極丁寧だ。
個人的な印象だけで言うと、「Siri」は慇懃無礼で「Googleアシスタント」はフランク、「Cortana」はビジネスライク。そして「Alexa」は彼女たちの中で最も控えめな気がする。
人間、丁寧に扱われると丁寧に扱いたくなるものなのだろう。せっかく選んでくれた音楽を「止めて」と言った後、なんとなく「いつもありがとう」と付け足してしまう。彼女の返事はやはり控えめだ。
「いつでもどうぞ」